おもな脳梗塞の後遺症とリハビリの方法
リハビリの目的と意義について
リハビリとは、脳梗塞の後遺症によって低下した機能を最大限に回復・改善させ、将来に向けて維持することを目的としています。脳血管障害のリハビリの三原則は、脳の機能回復」「残存機能の強化」「環境調整」といわれています。
運動障害(片麻痺)
半身麻痺の状態を片麻痺といいます。運動障害のリハビリは急性期から始められ、良肢位保持や体位変換、関節可動域訓練に始まり、日常生活動作の練習を進めてきます。自立支援・社会参加・介護予防がリハビリの大きな目的であり、機能の維持・向上のためには障害にわたってリハビリの継続をして行ける環境づくりも重要です。
感覚障害(しびれ・麻痺)
脳梗の後遺症である感覚障害とは、麻痺側に生じるしびれや感覚異常を指します。感覚過敏、異常感覚、錯感覚、神経痛などの陽性症状と、感覚鈍麻、感覚脱失のどの陰性症状に分類されます。神経回路の回復を図ることがリハビリの目的の一つで、運動麻痺と同様に反復や刺激を与えることに重点が置かれます。
感覚障害(しびれ・麻痺)と
そのリハビリについて
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視野障害
脳梗塞による視野障害は視野の一部が欠損したり狭窄したり、二重に見えたりします。多く見られるのは「半盲」です。空間認識に障害がある「半側空間無視」とは区別されます。視野障害に対するリハビリは、欠けている視野を代償するために、眼球運動を促しますが、最近では「反復刺激療法」も試みられている。
構音障害・失語症
言語障害には発声・発語の器官の筋肉や運動が障害されるために起こる運動障害性「構音障害」と、大脳の言語領域の障害により言葉の理解や表現ができなくなる「失語」があります。原因も特徴も異なり、リハビリの内容も異なりますが、できるだけ早期から始め毎日継続することが機能回復に重要となってきます。
構音障害・失語症(言語障害)と
そのリハビリについて
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嚥下障害
嚥下障害とは、食べ物や飲み物をうまく呑み込めなくなる障害で、急性期の患者さんの6~7割に起こり、再発でさらに頻度が高くなります。誤嚥性肺炎の発症に細心の注意が必要で、重度の場合には経管栄養に切り替えます。言語聴覚士や認定看護師が介入しますが、最近では薬や手術での改善を目指す方法も試みられています。
高次機能障害
主な症状には、失語、失認、失行、注意障害、記憶障害、遂行機能障害などがあります。身体障害を伴わないので精神疾患と誤認される場合もあります。高次機能障害のリハビリは、障害の評価・訓練、生活に応じたプログラム、職能訓練プログラムが三本柱となります。
脳梗塞による高次機能障害と
そのリハビリについて
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排尿障害
脳梗塞による自律神経障害で、排尿に関わる神経や筋肉に異常が生じることで排尿障害をきたします。尿意喪失、排尿不全、完全閉尿、尿失禁、頻尿、残尿などの症状がありますが、薬物療法や手術による改善を行います。リハビリとしては排尿筋を鍛えることや排尿誘導が行われています。
感情障害・精神症状
脳梗塞後の精神症状の特徴は意欲の低下や活動性の減退で、「脳卒中後うつ」や感情障害による「感情失禁」、不安や病識不十分、せん妄や幻覚など多岐にわたります。高次機能障害が精神症状として誤認されることもありますが、心理的サポートをするうえで高次機能障害に対する評価と介入を合わせて考えていく必要があります。
脳梗塞による感情障害・精神症状と
そのリハビリについて
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